ロング・ライダーズ(1980) THE LONG RIDERS

ロング・ライダーズ(1980)
THE LONG RIDERS

南部の人民と、北部の人民の仲の悪さがわかる映画。南部の人民のつながりの強さとかも。

南北戦争後の1860年代後半、元南軍のゲリラ、フランクとその弟ジェシーのジェームズ兄弟らで組織されたギャング団がミズーリ州の銀行を襲撃。以来、彼らは銀行と鉄道を中心に強盗を重ね、人々から喝采を受ける。これに対し、被害者の依頼を受けた探偵社による追跡が開始。それでもギャング団はその追跡をかわしながら強盗を続け、それぞれ恋人を持つなど青春を謳歌する。しかし、76年、ミネソタでの銀行強盗を失敗した際に集中砲火を浴び、かろうじてジェームズ兄弟だけが逃げ延びるのだが…。
 監督のW・ヒルとは友人でもあり、その作品にスコアを付けることで生活を支えてもらっていると本人が言う、燻銀のミュージシャンR・クーダーの音楽が、観る者を西部の砂塵の中に見事に誘い込む。淡く抑えた色調の画面がモノクロームに褪せて、ここに描かれた伝説を追うように走り去る汽車を見つめる少年たちを捉えるラストが忘れられない。役者兄弟同士の共演で、南軍ゲリラくずれの三組の兄弟の混成となる有名なジェイムズ・ギャング団の誕生から終息を、鋭いカットのアクションの積み重ねの中に、叙情もまたふんだんに香らせて、W・ヒル演出は心憎いほどの“気分”を出している。ジェイムズ兄弟に扮したキーチ兄弟が製作総指揮に脚本も兼ねている。史上初の銀行強盗を行ったという彼らが、実際はそうでもないのに義賊扱いで人々から歓迎される所に、いつの時代にも反権力のヒーローを求める民衆像が確認でき、そうした人々の薄情さも同時に描かれている。